では早速クラッチワイヤーの注油作業に入ります。
▼前回の記事はこちら
まずトランスミッション側のワイヤーの先端部分を
ウエスで覆います。
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これはクラッチレバー側からワイヤーオイルを
注入するので
その際にトランスミッション側のホースから
ワイヤーオイルが古いオイルと一緒に流れ出て来るからです。
次にクラッチ側のワイヤーの先端を
ワイヤーインジェクターに固定します。
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※ 向きを間違えないでください。
大きな穴が有る側がホース側。
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ゴムでカバーされていて小さな穴が開いているのが
タイコ(先端)側です。
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この状態にしてワイヤーインジェクターの
ネジをしっかりと締めます。
ネジを締めたら
ワイヤーインジェクターのオイル注入口に
ワイヤーオイルのノズルを入れます。
ここです
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注油する前にウエスで
ワイヤーインジェクターを覆います。
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ウエスで覆わないと
オイルが逆流して顔に飛び散ってきます。
ワイヤーオイルは10秒間位噴射し続けます。
オイルを注入したら
一度ワイヤーをインジェクターから外します。
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ワイヤーを外したら
タイコの部分をもってワイヤーを前後に動かします。
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この作業でワイヤーオイルが徐々に
トランスミッション側に落ちていきます。
そうしたら再びワイヤーをインジェクターに装着して
注油します。
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そしてまたワイヤーを前後に動かして
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これを3回位繰り返せば
トランスミッション側からオイルが出てきます。
写真では分かりづらいかもしれませんが
ウエスがオイルで濡れています。
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トランスミッション側からオイルが出来たので
クラッチワイヤーの注油作業はこれで終わりです。
古いバイクの場合はこの時に
汚れたオイルが出てくるので
その場合はオイルが有る程度綺麗になるまで
オイルの注油作業を続けて下さい。
それではトランスミッション側から
クラッチワイヤーを取り付けます。
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タイコ部分を引っ張って溝に入れます。
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トランスミッション側のクラッチワイヤーの
取り付けが終わりました。
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次にクラッチレバー側を取り付けます。
タイコをレバーにセットして
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ワイヤーを引っ張って
固定ナットとアジャスターナットの溝に入れます。
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アジャスターナットを回して
クラッチレバーの遊びを調整して元の状態に戻します。
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最後に固定ナットを締めて
アジャスターナットが緩まない様にします。
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※ アジャスターナットと固定ナット共に
溝が上に向かない様に注意しましょう
溝が上に向いた状態で固定してしまうと
雨天時に雨水が直接ワイヤーとホースの中に侵入してしまい
ワイヤーが劣化しやすくなるからです。
という訳でクラッチワイヤーのメンテナンスが終了しました。
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クラッチワイヤーはメンテナンスをしないと
ワイヤーが錆びる事で走行中に突然破断する事も有ります。
破断する場合は殆どの場合
ワイヤーのタイコ部分とワイヤーの接続部分が切れます。
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またワイヤーは切れる前に前兆が現れる事が多いです。
まずワイヤーはダメになってくると必ず伸びてきます。
その他にもワイヤーの幾つかが切れてほつれてきたり
ワイヤーが錆びてきたりしたらもう寿命と判断して
交換してしまった方が良いです。
いずれにしても
定期的にワイヤーの状態を点検していれば
ツーリング先でワイヤーが切れて
走行不能なんて事にならない為にも
定期的な点検と注油を行いましょう。
クラッチワイヤーのメンテナンスは
半年に一度~最低でも一年に一度は行いましょう。
しかしどんなに整備していても
実際にクラッチワイヤーが切れる事は有ります。
それは部品には個体差が存在し
検品を通った部品の中にも精度に若干のばらつきが有るからです。
ベテランライダーの方々はそんな事も良く解っているので
ツーリング先でクラッチワイヤートラブルで
走行不能にならない為に
予備部品を携行している方も居られます。
クラッチワイヤー自体を積んでいる方も居られますが
私が緊急用としてお勧めするのは
クラッチワイヤーのタイコ部分が切れた時に
その切れたワイヤーを簡易的に取り付ける事が出きる
タイコがあります。
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これが有れば万が一クラッチワイヤーが切れても
近くの修理工場や家まで自走可能になります。
▼こちらはクラッチレバー側
▼こちらはトランスミッション側
使い方は
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切れたワイヤーを束ねて補修用タイコの穴に通して
付属の六角レンチで締めるだけです。
実際にワイヤーを入れてネジを締める時は
車載工具のペンチを使用して
タイコを抑えた状態でレンチで締めないと
レンチとタイコが一緒に回ってしまい
締め付けトルクが不十分ですぐに外れてしまいます。
ペンチで抑えるとタイコに傷が付いてしまいますが
あくまで急場しのぎなので気にせずペンチを使用しましょう。
価格も安いので緊急時の事を考えても
買っておいて損の無い商品です。
バイクが不動でレッカーを呼んだら
一万円以上は軽く飛んでしまいますから。
この補修部品はあくまでも
クラッチワイヤーの両端の
‶タイコ部分のワイヤー切れの時のみ‶補修可能な商品ですので
クラッチワイヤーのタイコ部分以外の
ワイヤーの中央付近が切れた様な場合には利用できないので
その点を理解しておきましょう。
ちなみにスロットルワイヤーの補修タイコも有ります。
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