カワサキの冷却水漏れは不具合?それとも仕様?

新車で購入してもうすでに6年が経過したバルカンSですが

今回は1年間全く乗っていない状態で、久しぶりに車両の状態をチェックしてみると……

 

うっ!……

 

リザーバータンク内のクーラント液量が、規定値の最低レベルを下回っています。

(※ ちなみにバルカンSは車両を真っすぐにすると、若干クーラント液のレベルが上がります。なのでこの位の量だと実際には規定値の、最低ライン位の位置と言えます。)

 

そして下回りを点検してみると……

何じゃこりゃ!!!

 

冷却水が漏れまくっています。

 

 

これを見た私は大ショックを受けて、これでは即入院を覚悟しました。

 

しかし落ち着いて冷却水が漏れている原因個所を探してみると

ウォーターポンプから漏れている事が分かりました。

 

という事はウォーターポンプの取り付け部のガスケットが、劣化して冷却水漏れをしているようです。

 

と言ってもこの冷却水漏れは、緊急的なものでは無く

長い期間で少ーしずつ漏れるというものです。

 

 

実はこの冷却水漏れ事案ですが、どうやらカワサキの水冷2気筒エンジンの持病のようです。

 

ニンジャ400,650,バルカンS、ERー6Nなど

(※最新のモデルは改善されているようです)

同じ設計のエンジンなので、共通のウォーターポンプの仕様となっていて、全部同じ弱点を抱えています。

 

 

そして冷静に考えてみると、私はバルカンSを購入してから

この6年半の間で、減っていたリザーバータンクの冷却水を1年に1回位補充しており

その補充した総量が今回500mlにもなりました。

 

これが400mlです。

 

これを使い切って、新たに購入したものを100ml程補充しました。

 

 

そして無事に冷却水のレベルが、規定値の上限まで入りました。

逆に言えば年間で75mlは漏れていた(蒸発も含む)という事になります。

 

私は当初からバルカンSが、冷却水が減るバイクだという事は認識していました。

何故ならたま~にリザーバータンクを見ると、レベルが下がっているからです。

 

しかしこれよくよく考えてみると、いわゆる

冷却水漏れ事案"とまで言えるのかというと、少し疑問に思う点もあります。

 

それは200~300キロ走っても、全く冷却水は漏れません。

 

つまり長期間乗らない場合に、冷却水が少ーしずつ減る症状です。

 

どうやらカワサキのウォーターポンプの設計が、どうしても冷却水漏れを起こしやすいようです。

 

その問題はまずガスケットの劣化だけでは無いようです。

 

 

 

それはウォーターポンプのインペラ(回転羽)とメカニカルシールの接合部に、冷却水が張ってある状態で冷却水を漏れなくしていて(流体膜)

その冷却水が長期間乗らないで蒸発してしまうと、少しずつ冷却水が漏れてきてしまうようです。

▼ ウォーターポンプの図

▼ メカニカルシール

▼ 実物はこれです。

この白いシールがウォーターポンプのインペラ(水流を作る羽)の裏側に密着して、冷却水を遮断します。

 

▼ インペラ

▼ この裏部分にメカニカルシールが付きます。

 

またウォーターポンプケースの下部に穴が空いてあるようで

冷却水がエンジンオイルと混ざらないように、微量に漏れた冷却水はあえて下に落とすように設計しているとか。

 

カワサキから言うと設計上僅かに冷却水が漏れるのは仕様で

異常では無いという事です。

 

もちろん地面にポタポタと冷却水が垂れてくる様だと、これは完全にメカニカルシール、ガスケットの劣化で即交換となります。

 

しかし今回の様に長時間乗らない状態で、冷却水が漏れてくる程度では

メカニカルシールやガスケットの不良とまでは言い切れず、こういう設計のエンジンと言えます。

 

つまりこれを"冷却水漏れ事案"と決めつけて

すぐにガスケットメカニカルシールを交換する必要が有るのかというと、少し疑問があります。

 

私はとりあえずショップの方に

「もう少し様子を見てみます」と言ってしばらく乗って状態を確認していました。

 

そうすると嘘のように冷却水漏れはありません。

 

結局600キロ走って計測しましたが、全く漏れていませんでした。

御覧の通り下回りは綺麗で、滲みも発生していません。

 

 

という訳で今回の結論は、カワサキの水冷エンジンは冷却水漏れしやすい。

 

しかし従来の冷却水漏れ事案のように、ガスケット不良という事ですぐに修理するような事ではないケースも有り

元々設計上ある程度、冷却水が少しづつ減るという事を覚悟した方が良いように思います。

 

また長期間乗らない状態だと、顕著に冷却水が垂れてくる今回のような事案もありうるという事。

しかしだからと言って、急いでガスケットやメカニカルシールを交換するのではなく、冷却水をの漏れ方を検証しながら乗っていくのが、結果的に費用も抑えることが出来て、無駄な修理をしなくても済むという事が言えます。