それではキャブレター本体の洗浄を実施します。
丸で囲った穴をキャブクリーナーで洗浄します。
こんな感じでやって下さい。
ガソリンドレン経路も洗浄します。
▼
メインジェットの経路の反対側の
ピストンバルブが当たる面を洗浄します。
洗浄後です。
▼そしてこれが洗浄前のスロージェットの経路です。
洗浄後です。
拡大して比較してみます。
スロージェット経路の詰まりが取れました。
洗浄が完了しました。
それでは全ての部品を組み込みます。
最後に新しいスロットルストップスクリューを組み込んで
終了です。
以上がキャブレターのオーバーホールの工程です。
見てきた様に特別難しい作業は有りません。
工具も精密ドライバーが有れば簡単にできてしまいます。
ただある程度の経験が無い人は
パッキンの再使用の判断や、部品の締め過ぎによる破損には注意しましょう。
不安な人はパッキン類は全て新品で注文してしまいましょう。
そんなに高額ではありませんから。
それでは車体にキャブレターを組み込みます。
取り外しの逆順なので省略しますが
一点だけポイントが有るので解説します。
それはニードルジェットをキャブレターに取り付ける手順です。
外した時と同様にスロットルワイヤーの中にバネを入れて
バネを縮めておいてスロットルワイヤーのストッパーを
スロットルバルブの内側に滑らせて溝に入れます。
これでニードルジェットが車体側に取り付け出来ました。
次がポイントです。
スロットルボディをキャブレター内に入れます。
この時に(写真下の突起)と
スロットルストップスクリューの溝側は
スロットルボディの溝が短い方の
▼こちら側になります。
反対に溝が全部切ってある方は
写真上の溝に入る様に取り付けます。
正しく取り付けるとこの様になります。
▼
スロットルボディがキャブレターに取り付ける事が出来ました。
最後にアクセルワイヤーホースの付け根を
キャブ本体に引っ張って隙間をなくします。
キャブレターの取り付けが完了です。
最後にスロットルストップスクリューと
エアスクリューの調整をします。
まずはスロットルストップスクリューから
▼これです。
ここがアイドリングの回転数を上げたり下げたりできる
調整バルブです。
これは手でも回せますが
きつい時はマイナスドライバーを使いましょう。
まず時計回りに止まるまで回します。
そこから今度は反対側(反時計回り)に三回転戻します。
次はエアスクリューです。
同じように時計回りに止まるまで回します。
同じ様に今度は反対側(反時計回り)に
一回転半戻します。
(※厳密な戻し回転数は1回転と3/8回転、メーカーカタログ値より)
これで基本セッティングは終了です。
最後にエンジンをかけてエンジンが完全に温まってから
実際のアイドリングと空燃比を微調整してください。
調整は最初にスロットルストップスクリューで、アイドリングの回転数を先に調整してください。
調整のやり方はスロットルストップスクリューを時計回りに回せば
アイドリングの回転数が上がります。
反対に反時計回りに回すとアイドリングの回転数が下がります。
アイドリングの調整は回転数を下げ過ぎるとエンジンが止まってしまいます。
なのでエンジンが止まらない程度まで、アイドリングを上げてから
そこからさらに少しだけ回転数を上げてください。
何故ならたとえエンジンが止まらない回転数だからと言って
極端にアイドリングの回転数を下げてしまうと
オイルポンプの油圧低下や発電低下が起きてしまうからです。
次にエアスクリューで低回転域の空燃比を調整します。
やり方はエアスクリューを時計回りに回すと、燃焼室に送り込まれるガソリンが濃く供給されます。
反対に反時計回りに回すと燃料が薄くなります。
アイドリングの回転数が最も高くなるところに、エアスクリューを調整して下さい。
ちなみにエアスクリューは主にアイドリングから、アクセル半開程度の空燃比に影響します。
アクセル半開から全開時はエアスクリュー付近の
流速が低下し、メインジェットから燃料が供給されるので
エアスクリューの影響はほぼ無くなります。
燃料コックを(RUN)してガソリンをキャブレターにいれて、早速エンジンをかけてみます。
数回のキックで無事エンジンが始動しました。
アイドリングをエアスクリューを仮セッティングして、エンジンが完全に温まった所で最終的なセッティングしたところ
アイドリングは完全に安定して、アクセルを戻した時にエンストする症状も無くなり
何よりも体感できるほどエンジンの燃焼がスムーズになりました。
冬なのに夏場の様なコンディションになりました。
エンジンブレーキの利きがマイルドになったので、以前の空燃比が薄かったと実感できました。
それにしても冬の冷感時もエンストしない事が、こんなに嬉しいという事は、余程冬のエンストが私の中で当たり前の事になってしまっていたんだと実感。
やはりキャブ&小排気量車は、ほんのちょっとのキャブの詰まりでもエンジンのコンディションが悪くなると改めて感じました。
まあオートチョーク機構が有れば良いだけなんですが。
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