エンジン関係のカスタムはやめとけ!

バイクや車を買うとどうしてもカスタムして性能を上げたり

自分の個性を出したくなってきます。

 

定番なのはライトカスタムと言えば

エアークリーナーの交換です。

純正のエアークリーナーから低抵抗の、社外エアークリーナーに交換します。

 

 

あとはマフラーを社外品に交換して、抜けを良くしたりと様々です。

またもっとそれよりも、もっとパワーを上げたいと思うと

キャブレターをより多くの燃料を供給できるものに変えたり

さらには、ピストンを交換してボアアップする事もあります。

 

恐らくバイクいじりが好きな人は、これらのカスタムを一通り経験している人も多いはずです。

 

しかし私の経験から述べさせて頂くと

エンジン関係のカスタムはするべきではない"という事です。

 

なぜパワーが上がるカスタムを、するべきではないのかという事を説明します。

 

 

まずライトチューンエアークリーナーの交換ですが

これはハッキリ言って殆ど意味ないです。

 

確かに吸い込みの空気抵抗が減って、吸入空気量は増えるのですがそれに合わせて燃料も濃くしなければ意味は無く、キャブレターをセットで変えないと効果は少ないです。

仮にキャブレターとエアーエレメントを、高性能なものにセットで交換すれば、空気と燃料の吸い込み効率が良くなり、ピークパワーは上がります。

なので販売元のメーカーが提供しているパワーグラフでは、ピークパワーが上がっていて高性能になったように見えます。

 

しかしそれはアクセルを全開に回した時に、ノーマルよりも早く最高出力に到達する事を意味します。

これは1%位パワーが上がる訳です。

 

しかし大事な事はアイドリングから4000回転位の、日常使う回転域では無意味です。

また肝心の燃焼室の容積は変わらないので大した意味はありません。

 

そしてここからが重要なのですが、エアークリーナーを社外品に変えてしまうとエンジンの耐久性に問題が起きます。

 

それは純正の設計した空気抵抗を持たせているのが

"純正エアークリーナー"です。

 

それを網目の荒い空気抵抗の低いエアークリーナーを使用してしまうと、本来エアークリーナーで除去する筈だった、ほこりやゴミを燃焼室に送ってしまう事になります。

 

殆どのゴミは燃焼室で燃やされるので、大きな問題にはなりませんが

ゴミの燃えカスは触媒に付着する可能性が有り、良い事はありません。

 

またインジェクションのエンジンは、コンピュータで燃調を自動制御しているので、空気抵抗の低すぎるエアークリーナーは空気の吸入量が増えても、メーカーが設計した空気の吸入量が変わってしまい、狙った水準の燃調で燃焼できなくなるので、燃費が落ちてエンジンの耐久性も下がります。

つまり百害あって一利なしです。

 

 

次にカスタムでは最も効果的なボアアップです。

 

これは確かにパワーは飛躍的に上がります

 

何といってもエンジンパワーの最大要因である、排気量を拡大する訳ですから

最も効果的なチューニングです。

 

しかしこれが大問題!

 

 

何故なら自動車と言うのは(バイクを含む)

設計された排気量で全ての部品の耐久性を持たせています

 

● クランクシャフト強度

● スプロケットシャフト強度

● 吸排気バルブスプリングバネ張力

● クラッチ強度

● トランスミッション強度

● チェーン強度

● 冷却性能

● セルモーターの始動能力

 

これら全てのパーツが設計されたエンジンパワーの、上限に合わせて壊れないように安全マージンを持たせて、部品の太さや材質を選定しています。

 

つまり125ccのエンジンを180ccボアアップすると

先ほど挙げた全てのパーツの、強度の上限を超えてしまい

エンジンの耐久性は一気に低下します

 

特に顕著に表れるのが熱容量オーバーです。

 

ボアアップして一番最初に起きる問題がオーバーヒートです。

 

これは設計の最大熱容量を超えてしまうので、当然の結果です。

 

最悪はエンジンが焼き付いて、不動車となってしまいます。

 

その為ボアアップには冷却系のカスタムは必須となります。

 

具体的にはオイルクーラーを付けたり、ラジエーター大型の物に変えたりします。

この時に正確にカスタムして増えた熱容量の増加率と、冷却性能を強化して増えた冷却性能の増加率を

厳密に計算して熱容量の増加率分以上の、冷却能力を上げなければ意味がありません、

 

いくらオイルクーラーや大型のラジエーターを付けても、それが最大負荷をかけた状態でオーバーヒートしないという、数値的根拠が必要です。

 

冷却系を強化したところで、それが増えた熱容量を全て冷やす事が出来なければもちろんエンジンは壊れてしまいます。

 

そこで"ボアアップして冷却性能を上げれば問題ない

と思う方も居るかもしれませんが

 

先述したようにトランスミッションの強度についてはどうでしょうか?

マニュアルの場合はクラッチ、フライホイールの強度を上げなければいけません。

(ATの場合は変更不可)

 

スプロケットシャフトも太くする必要が出てくるかもしれません。

 

そんな事まで、できるでしょうか?

 

 

というか専用パーツが用意されていない場合が多いです。

 

もちろんドライブチェーンの強度も上げなくてはいけません。

 

またエンジンが大きくなる事でセルモーター、バッテリーの負荷も増えます。

 

そしてボアアップしたエンジンは設計上限の回転数よりも、エンジン回転が高くなるので

吸排気バルブスプリングのスプリングレートが足りないと、吸排気バルブの開閉の追随が間に合わず、最悪はバルブとピストンが接触してバルブが壊れてしまいます。

また仮にこれら全ての問題を解決した所で

自動車の設計された設計速度を超えてしまうので、速度域が上がった事による

 

車体の剛性

直進安定性

ブレーキ性能

 

これら要素の能力も上げなければいけません。

 

つまりカスタムと言うのは、メーカーのエンジニアの方々が

一生懸命試行錯誤をして全ての強度とパワーをバランスさせて、デザインした構成を壊す作業でもあります。

 

またそれだけコストをかけてカスタムするよりも、初めからワンランク上の能力の自動車を買った方が遥かに効率が良いです。

 

たとえば125ccのバイクに30万円かけて、カスタムして動力性能を上げるよりも

初めから150cc250ccのバイクを買った方が良いです。

 

 

例えば

250ccのバイクを買ってカスタムするよりも

 

初めから400ccを買った方が100倍効率が良いです。

 

 

 

四輪車で言えば1500ccのロードスターに、大金をかけてカスタムするよりも

 

初めから2000ccのロードスターを買った方が良いのと同じです。

 

またその他にカスタムは物によっては、車検に通らなくなってしまう事も有るので要注意です。

 

特に注意するべきなのがマフラーのカスタムです。

 

社外マフラーは音量規制を超えてしまう事が多く、車検の時に基準値を超えてしまう事が多いです。

 

またボアアップエンジンの排気量区分が変わってしまうので、構造変更届をしないとなりません。

 

ただそれらのエンジンのカスタムにおける問題点を全て理解した上で

部品を自前で作ったり、他のパーツを流用したり

カスタムのノウハウが確立されていて、カスタムによる耐久性低下のリスクも認識している方は、自己責任でやる分にはそれも1つの自動車の楽しみ方です。

 

最後に

人によってはある程度のカスタムでも、純正パーツの耐久性で問題ないと思っている方も居るかも知れませんが

バイクというのは設計段階で、そんなに高く強度設計はしないのです。

 

何故かというと強度を上げるというのは、イコール重量増、コスト増になるからです。

なのでバイクを作る場合、部品強度は最低限の強度に安全マージンを加えた程度なのです。

 

例えば125ccのバイクを作るのに、200ccのパワーの強度を持たせる必要があるでしょうか?

そんな事をすればバイクは非常に重たくなって遅くなり、コストも一気に増えて良い事が1つもありません。

 

特にバイクのように性能を重視する乗り物は、より軽量さが求められます。

なので設計段階からメーカーが綿密に強度計算をして、一定の強度を持たせた上で重くならないように、極力軽くする為に部品を薄く小さく設計します。

この事からも分かるように、標準から20%もパワーが上がれば大体の部品は既にメーカーが設計した上限強度を超えてしまうのです。

 

という訳で、カスタムは実際には問題が多く、多岐にわたって悪影響が出てくる事が分かったと思います。

メーカーが沢山の予算をかけてテストを繰り返して、作り上げたベストバランスを維持しながら、しっかりとメンテナンスをしてベストな状態を維持した方が、長く安心して乗る事が出来ます。

 

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