バイクの整備をしていると、車種によって避けて通れないのがタンクの脱着です。
バルカンSはニンジャ650と共通のエンジンを採用しています。
その為に、性能を優先した設計になっていて、メンテンナス性が悪いです。
具体的には各部品を車体中央に設計して
"マスの集中化"を行い運動性能を高めています。
マスの集中化が出来ていないと、車体の重量バランスが悪くり、ブレーキング、コーナーリングに車体の挙動にクセが出てコントロールし難くなります。
例えばコーナーで左右で倒し方の力が変わったり、上り坂、下り坂で極端に車体の挙動が変わるなど、扱いにくいバイクになってしまいます。
重量バランスが悪い例がスクーターです。
スクーターは実用性を追求して作られていて、エンジン、タンク、トランスミッション等の主要部品が、全て後ろに搭載されているので、リアに荷重が集中しすぎているのでコーナーでは、リアが滑りやすいです。
という訳でバルカンS、ニンジャ650は、プラグ、エアークリーナーのメンテナンスをするのに、タンクを外さないといけません。
まずタンクを外す時はなるべく、タンク内のガソリンを減らした状態で行いましょう。具体的には5リットル未満が望ましいです。
タンクに5リットル以上ガソリンが残っている場合は、タンク内のガソリンを抜けるだけ抜いて、作業をしやすくしましょう。
このガソリンを抜く作業は、危険物取扱免許乙4種所持者が望ましいです。
(※火気厳禁)
ちなみにネットではタンクを外す具体的な記事が少ないですが、タンクを外すのにガソリンを空にする必要はありません。
タンク内のガソリンは給油口を開けない限り、インジェクターホースを外してもガソリンはこぼれてはきません。
これはストローを水の入ったコップに入れて、ストローの上を指で塞いでコップからストローを持ち上げた時に、ストロー内の水は下に落ちないのと同じ原理で
タンク内は密閉されて負圧になっているので、タンクキャップを開けない限りインジェクターホースからガソリンが出る事はありません。
なのでインジェクターホースを外す時は、絶対にタンクキャップは開けないでください。タンクキャップを開けるとガソリンはこぼれます。
という訳で早速タンクを外します。
まずはシートを外します。
外れました。
次にタンクを固定しているボルトを外すので、カバー類を外します。
バルカンSの場合は六角レンチでカバーを外します。
2本のボルトがタンクの固定ボルトです。
サイドカバーも外します。
両側のカバーを外して、これでタンクとコネクター、インジェクションホース、ホース類を外しやすくなりました。
次にタンクを車体に固定している三本のボルトの内、前側を外します。
10ミリボルトで大したトルクで締まっていないので、足回りの様にインパクトレンチの出番はありません。
後ろ側は一本のボルトでとまっています。
これでタンクがフリーになりました。
タンクをフリーにしてからでないと、ホース類を外すのに隙間が狭くて大変です。
まずはタンクを少し持ち上げながら、ドレンホースとブリーザーホースを外します。
この2本です。
根元のクリップのつまみ部分を、指かペンチで挟んでクリップの張力を弱くしながら引っ張ると抜けます。
ドレンホース、ブリーザーホースが外れました。
次に燃料系のコネクターを外します。
コネクターは上の突起部分のツメが、かかっている部分を
押し込んでロックを外した状態で引っ張れば簡単に外れます。
最後にインジェクターコネクターを外します。
インジェクターコネクターを外すと、ホース内のガソリンが少しこぼれるので雑巾などを下に敷いておきましょう。
インジェクターコネクターの外し方は、赤いストッパーを指で外側に引っ張って移動させます。
ストッパーをずらしたら、インジェクターコネクターはフリーなので引き抜きます。
インジェクターコネクターが外れました。
これでタンクは完全にフリーになりました。
タンクを持ち上げて慎重に車体から降ろします。
タンクを外す事に成功しました。
実はタンクを外す事は、そんなに難しくありません。
慣れれば10分位で外せます。
足回りの整備に比べれば、難易度は低いです。
また特に専用工具などもいらないので、ハードルは低いです。
ただ1点だけ気を付けてほしいのは
"インジェクターコネクターの取り付け"です。
インジェクターコネクターの取り付けは必ず慎重に、確実にタンク側ノズルとインジェクターホースを、最深部までしっかりと挿入してください。
タンク側ノズルに対して、インジェクターコネクターを最深部の突起部分まで入れないと不十分です。
インジェクターコネクターの取り付けが不十分だと、燃料が正常に供給されず、最悪はインジェクターコネクターが抜けて、ガソリンが漏れてきます。
難しい作業ではないので、インジェクターコネクター取り付け後は必ずタンク側ノズルの最深部まで挿入されているか、またストッパーがしっかりとはめ込まれているかを、確認してください。
これでスパークプラグやエアークリーナーを交換する為の
第一段階が終わり、プラグやエアークリーナーにアクセスする事が出来ます。
▼ エアークリーナー、スパークプラグ交換の記事はこちら