前回の記事で
ブレーキパッドのスライドピンはキャリパー構成部品の中でも
劣化しやすいという事を書きました。
そこで私は1年に1度のスライドピンの
清掃とグリスアップを提案したわけですが
早速バルカンSのスライドピンを外して
グリスアップする事にしました。
ちなみにバルカンSは昨年の1月に納車されたので
1年と4カ月程が経過してます。
多分それ位では全くと言って良いほど劣化していないと
思うのですがどうでしょうか。
これですね
(ブレーキパッドピンまたはスライドピン)
横から見ると分かりやすいです。
バルカンSは
スライドピンが1本です。
最近はこのタイプが多いようです。
またスライドピンは頭が
ボルトタイプと六角レンチの物が有ります。
バルカンSの場合はボルトタイプなので
一般的なレンチで外す事が出来ます。
という訳でメガネレンチで緩めます。
ちなみに足回りの整備には
スパナやモンキー等の工具は極力使わないでください!
ボルトやナットの頭をナメてしまい
結局後で面倒な事になります。
(経験有り)
ボルトを緩めて
外れました。
それでは外したブレーキパッドのスライドピンを見てみましょう。
黒くなっているのは錆びでは無く
グリスにブレーキパッドのカスが付着したものです。
それではリヤのスライドピンを外します。
リアキャリパーは上に付いています。
▼ ブレーキパッドスライドピンです。
フロントと構造は一緒ですね。
フロント同様にメガネレンチで緩めます。
緩んだらラチェット式レンチで外します。
前後とも固着は有りませんでした。
やはり1~2年で外しておけば固着は起きない様です。
外れました。
それではキャリパーから外した
前後のブレーキパッドピンを見てみます。
それをパーツクリーナーで洗浄してから
コンパウンドで磨きました。
余談ですが
研磨して分かったのがブレーキパッドスライドピンは
高い防腐処理がしてありました。
それは研磨していると黒い酸化被膜がウエスに付着しました。
これはステンレスの特徴です。
ただ重量的に純ステンレスにしては軽いかなと思い
恐らくは表面をステンレスの様な
防腐処理をしているのだと思います。
いずれにしても最近のバイクのパーツは高品質です。
という事で研磨後のブレーキパッドスライドピンを見てみます。
意外な事にたったの1年4カ月使用
距離も僅か2000キロ位しか走っていないのですが
もうスライドピンには除去できない程の
痕跡が付いてました。
もちろんヤスリで強烈に磨けば除去可能だと思いますが
そうするとかえってスライドピンを痛めてしまって
錆が発生しやすくなるので得策ではありません。
この状態まで磨いて
古いグリスとブレーキパッドのカスを
除去すれば問題ありません。
またこの程度の痕跡がスライドピンに付いても
性能にはなんら影響は無いので
心配する必要は有りません。
という訳でブレーキパッドスライドピンを
再びキャリパーに組み込みます。
使用するグリスは
耐熱性と定着性を兼ね備えている
シリコングリスが適しています。
そんなにべたべた塗らずに
表面を全体に薄く塗ります。
あまりグリスを付けすぎると
かえってブレーキダストやホコリを吸ってしまって
良くないからです。
最初は手で入れていきます。
ある程度入ったらレンチで締めていきます。
最後は本締めして
必ずキャリパーの裏側を見て
ブレーキパッドがスライドピンの反対側の
キャリパーの枠にしっかりと収まっているかを確認します。
ブレーキパッドピンが1本のタイプは
反対側がキャリパー枠で固定しているので
枠に入っていなくても
ブレーキパッドスライドピンが入ってしまうからです。
スライドピンが2本のタイプは
この確認作業は必要ありません。
という訳で
フロントのブレーキパッドスライドピンも取り付けて
裏からブレーキパッドが
キャリパー枠に収まっているか確認します。
OKです!
これで前後ブレーキパッドスライドピンの
グリスアップが完了しました。
作業は非常に簡単で
時間も30分も有れば楽に終わってしまいます。
これでブレーキパッドスライドピンの固着を防いで
錆の進行も防げるので一石二鳥です。
またこの際にブレーキパッドの残量を確認出来るので
ブレーキパッドが無くなって
ディスクローターまで交換する羽目になるという
事態も防ぐ事が出来ます。
実際にやってみると本当に簡単なので
愛機の整備の中でたまにはやってみる事をお勧めします。
新しいブレーキパッドスライドピンの記事はこちら
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