さて今回は"スパークプラグ"の
耐久性について考えてみます。
スパークプラグは内燃機関の燃焼のきっかけで有る
"火花"を発生する装置です。
プラグメーカーでは自動車の場合
2万キロで交換推奨しています。
▼ NGK
▼ デンソー
自動車メーカーでは4万キロと指定されている事が多いです。
中心電極と外側電極に白金やイリジウム等を使った
長寿命タイプでは10万キロ~20万キロもあります。
(※二輪車には長寿用タイプの設定は有りません)
また軽自動車ではその半分で交換と言う定説で
1万キロ~2万キロ交換と言われています。
バイクにおいては、さらにその半分
3千キロ~5千キロ交換と言われていて
バイク初心者の皆さんの中には、困惑している方も居るのではないでしょうか。
さて、そこで私の主観ですが、スパークプラグは重要な部品ですが、最近の車ではインジェクションでの効率的な混合気の噴射に加えて
安定した高電圧のスパークによってプラグの消耗や、消耗によるミス着火は
昔に比べてかなり少なくなっていると言えます。
そういった観点からも一般的な車(バイクを含む)では
交換指定距離を遥かに超えて使用しても、問題ありません。
ちなみに私は交換指定距離の2倍~4倍位使用していますが、まず問題有りません。
私のバイクKSR110は単気筒のシングルカム、2バルブという
中低速向けのエンジンです。
小排気量の為に常用回転域は5千回転位なので、確かに軽自動車よりも高い回転数で走っている事になります。
では実際に私のKSR110のスパークプラグを見てみます。
▼
このスパークプラグは11000キロ使用した
片側イリジウムプラグです。
拡大します。
外側電極部分は若干丸みを帯びてきた感が有りますが
余り目立った劣化は無いように思えます。
次に新品のスパークプラグと比較してみましょう。
やはり新品プラグは外側電極の角が有ります。
比較画像です。
外側電極のスパークする部分が減ってしまって、プラグギャップが広くなっている事が分ります。
新品プラグは明らかに、プラグの電極間が狭いです。
NGKの片側イリジウムプラグなので
耐久性は一般的なプラグと同じで
4輪車では2万キロの物です。
※10万キロ耐久の両側イリジウムではありません。
新車で購入後1700キロでプラグ交換してから
1万1千キロ走行していますが何の問題もありません。
私の経験上プラグメーカーの指定している、交換距離は実際に不具合が出る
1/4 ~1/10 位に設定して、かなり広い安全マージンを設けているといえます。
私のバイクはプラグメーカーの指定している
最も低い指定距離で有る"3千キロ"の4倍位既に走っている事になります。
キック始動ですが、現在も一発か二発で普通にかかります。
恐らく後1万キロ位は余裕で走ります。
KSR110のエンジンは
常用回転数は5000回転位です。
(時速60キロ時、4速ギア 5020回転)
一般的な自動車の常用回転数が2500回転だとすると
KSR110の常用回転数は5000回転と
丁度2倍です。
つまり
四輪車の自動車メーカーの交換指定距離である
4万キロの半分の計算で2万キロは軽く走るのです。
プラグの消耗を考える上で重要な点は、あくまでも
〝点火数〝になります。
二輪車のスパークプラグの交換距離を
3千キロ~5千キロとアナウンスしているプラグメーカーは
かなり短い交換距離の設定をしています。
また"二輪車"とバイクを一括りにしている点も
かなり大雑把な分類の仕方と言えます。
実際には"バイク"と一口に言っても
ホーネットの様に4気筒で1万6千回転まで回るのもから
SRの様に
単気筒で7千回転程度の低回転エンジンまで様々です。
ハーレーに至っては常用回転数が極めて低く
( 2500回転 )位です。
これは乗用車と同程度の常用回転数になります。
なのでハーレーのスパークプラグは
4万キロ位普通に使えます。
そして(ホーネット)は(SR)よりも
【2.28倍】使用可能回転数が高いので
当然【2.28倍】プラグの消耗が早くなります。
厳密に言えば最高出力発生回転数よりも、常用回転数が重要な数字になりますが
最高出力発生回転数が高いバイクの方が一般的に
低速トルクが低いので、回転数を上げてギアチェンジする事になります。
なので最高出力発生回転数と常用回転数は有る程度、正比例していると言えます。
それだけ違うバイクを"二輪車"と一括りにしているあたり
プラグメーカーは、スパークプラグの交換指定距離をかなり低い設定にしたい意図が見て採れます。
ただ1点注意して頂きたいのは、4気筒で1万回転以上回るような高回転エンジンは
スパークプラグに対する要求度が極めて高いので
1万キロ以上使用すると吹け上がりが悪くなったり、最悪は失火したりするでしょう。
しかし最高回転数が1万回転以下のエンジンであればまず、1万キロは軽く持ちますし
2万キロも余裕です。
と言っても、もちろんスパークプラグは走行距離が増す事によって
消耗しています。
なので"不具合が出ない範囲"と言う点では
バイクのプラグは1万キロ~2万キロは問題無く使えますが
エンジンの始動性能、加速力、燃費は若干低下していく事は言うまでもありません。
また常にシフトチェンジのストロークを引っ張って乗っている場合は、当然消耗が早くなります。
CB400SFの様なバイクは吹け上がりが良いので
低速ギアから引っ張れば、すぐに10000回転まで回ってしまうので
そういう乗り方をしていると消耗は2倍位早まります。
と言っても4気筒高回転エンジンで
3千回転位でシフトアップして走ると全く面白くないですが……。
ザックリですが、以下に大まかな排気量とエンジン特性による
プラグ交換距離の目安を作りました。
50cc 1万キロ~1万5千キロ
125ccクラス 1万5千キロ~2万キロ
250cc~400ccクラス
最高出力発生回転数 9000回転以下 2万キロ~3万キロ
最高出力発生回転数 9000回転以上 1万キロ~1万5千キロ(変速を引っ張る方は下限)
大型バイク
最高出力発生回転数 9000回転以下 2万キロ~4万キロ
最高出力発生回転数 9000回転以上 1万キロ~2万キロ(変速を引っ張る方は下限)
これ位の範囲で有ればまず問題がおきないと考えます。
これを見た人の中には
「おいおい、こんなに使ったらエンジンが不調を起こして壊れる」
とか、エンストすると思う人もいるかもしれませんが
まずそんな事は有りません。
というか、実際にはこの交換距離よりも、さらに3割~5割増し位は持ちます。
エンジンオイルの早目交換や、暖機運転の迷信と同じで
実際には今の内燃機関はそこまでの過保護の必要はありません。
最後に
誤解の無いように、今回はスパークプラグの寿命という観点で
交換指定距離よりも遥かに長い耐久性が有る
という趣旨の内容になりましたが
これはスパークプラグが機能しなくなるまでの寿命という意味です。
スパークプラグは使用に比例して確実に消耗しているので、1万キロ、2万キロ使用したスパークプラグは
新しいものに比べて、点火性能が落ちているので
始動性能、加速性能、燃費性能も低下します。
その為スパークプラグの寿命を迎える前に、交換した方が有益なケースもあります。
これがいわゆる【 経済寿命 】です。
スパークプラグの経済寿命についてはこちらです。
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単気筒125CCの台湾バイクに乗ってるけど、もうすでに5万キロは走ってる。冬でもキックで普通にエンジンかかるよ。一応予備のプラグは用意してるけどね。
5万キロは凄いですね。そこまでいくとどれ位使えるのか、プラグの限界が知りたくなります(笑)