オーバーホールを済ませたフロントフォークを取り付けます。
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フロントフォーク オーバーホール 倒立式 4 組み込み 後編
と、その前にフォークブリッジ、トップブリッジのフォークが入る穴の状態をチェックしておく必要が有ります。
まずはトップブリッジの左側
錆び無し。
次にトップブリッジの右側
錆び無し。
次にフォークブリッジです。
まずは右側。
錆び有り。
次に左側。
錆び有り。
という事で、フォークブリッジの内側は錆びている事が多いです。
今回の錆程度は( 中 )です。
錆びとりの方法は、錆の進行具合によって変わります。
錆が深い場合は、ヤスリ&コンパウンドで錆と一緒に付近のメタルごと削ります。
その後は陥没した箇所にパテで埋めて、強度の高い塗料で塗装します。
錆が浅い場合はコンパウンドで錆が出ている表面を磨きます。
さらに錆が浅い場合は、錆び取りクリームなどで錆を簡単にとって終わりです。
今回はまず錆び取りクリームで錆を取って、錆の進行具合を見極めます。
まずは塗布します。
錆び取りクリームだけでは錆が取れず、結局コンパウンドで磨きました。
磨いた後の状態です。
ここまで綺麗になれば、問題ありません。
ついでにフォークブリッジの錆びも対処します。
錆びを取ってから、再塗装します。
フォークブリッジやハンドル等の鉄製の個所に、使用する塗装はホイール用の高強度の塗料を使用してください。
それではフォークをフォークブリッジに取り付けます。
フォークブリッジに慎重に入れます。
まずは落ちてこないように仮止めします。
もう1つのフォークを入れます。
フォークが入りました。
次に左右のフロントフォークの高さを合わせる為に、アクスルシャフトを入れます。
次にトップブリッジとフォークの突き出し量を、規定値に合わせます。
ここで位置を決めて固定します。
フロントフェンダーを装着します。
いよいよホイールを取り付けます。
ホイールを取り付ける前に、やっておいたほうが良いグリスアップです。
まずはスピードメーターケーブル
内側の古いグリスを綺麗にして、新しいグリスを塗布します。
次にホイールベアリングと接している、ディスタンスカラーもグリスアップします。
そしてアクスルシャフトもグリスアップします。
グリスを塗布したら、アクスルシャフト全体にグリスが行き渡るように、塗り広げます。
この部分は組み付けてしまったら、密閉されるので円滑、防腐の為に重要な作業です。
このアクスルシャフト周りが錆びてしまうと、ホイールベアリングやホイールの軸受け等が駄目になってしまうので、しっかりとグリスアップする必要が有ります。
ホイールを取り付けます。
ホイールを組んだら、このタイミングでバイクを馬から降ろします。
これでバイクが安定したので、フォークのトップキャップを本締めします。
あとはフォークガード、キャリパーを取り付けて終了です。
という訳でフロントフォークのオーバーホールが完了しました。
基本的には整備工場で依頼するフロントフォークのオーバーホールですが、きちんと工具を揃えて、サービスマニュアルを見ながら慎重に行えば、一般のライダーでも出来る作業です。
ただ作業内容は決して簡単ではないので、ある程度の整備経験や知識が無いと、失敗する可能性も有る事を、覚悟しておかなくてはなりません。
フォークオーバーホール作業で難しいのは
● バイクのリフトアップ
● インナーロッドとボトムを固定しているボルトの取り外し
● オイルシールの圧入作業
特に注意しなければならないのは車体をリフトアップする時です。
基本的にはバイクジャッキを使用するのが大原則です。
しかし状況によってバイクジャッキが使用できない時は、パンタグラフジャッキ等でリフトアップする事になりますが、その場合必ず地面の状況が
コンクリートかアスファルト等の、硬くて平らな場所で作業する必要が有ります。
間違っても、砂利や土ではバイクジャッキ以外を使用しないでください。
かなりの確率でジャッキが動いて、バイク諸共倒れてくる可能性があります。
またオイルシール自体は、一般的な走行状況ではそんなに簡単に駄目になる個所ではありません。
今回も新車から17年経過して、初めてオイルシールの寿命を迎えたように、きちんとした整備をすれば、10年以上、15年位は持ちます。
(※ 過走行は別です)
よく2~3年でオイルシールが駄目になるというのは、インナーチューブの傷、痩せ、またはオイルシールの圧入時の失敗等が原因の事が多いです。
そういう事を考えると、フォークのオーバーホールの作業は滅多にする作業ではないので、素人が無理してまでする必要が有るのかというと、疑問ではあります。
ただフォークのオイル交換は、できた方が良いのかなと思います。
フォークオイルは1~2万キロ程度で劣化してしまうので、ライダーであれば必ず必要になってくる整備項目になります。
フォークオイルの交換は、難易度の高いボトムのボルトの取り外しや、オイルシール類も触らないので、まだ簡単な方です。
最後に、フォークの取り外し作業は危険が伴うので、中型以上のバイクでは整備に自信が無い場合は、必ずバイクジャッキを使用して、整備事故を起こさないように注意してください。
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