バイクのフロントサスペンションは、フロントフォークという名称です。
フロントフォークの中にはスプリングとオイルが封入されていて、路面の衝撃を吸収して走行安定性を保っています。
フロントフォークの詳しい構造はこちら
フロントフォークは走行と共に性能が下がっていきます。
フォークオイルの交換頻度は、走行状況や車種によっても変わってきます。
一般的には1万5千キロ前後で交換するのが賢明です。
凸凹道等の悪路を走る事が多いと、1万キロでもへたってきます。
フロントフォークのオイル交換をするには、バイクの車体フロントを持ち上げなくてはならないので、ジャッキ、馬などが必要になります。
なるべくなら、バイク専用のジャッキを使用をお勧めします。
それでは早速、フロントフォークのオイル交換のやり方を解説します。
まずはバイク車体から、フロントフォークを取り外します。
初めにアクスルシャフトを緩めます。
この段階ではあくまでも緩めるだけです。
アクスルシャフトを緩めるには、最初にフォークの固定ナットを緩めます。
フォークの固定ボルトを緩めたら、いよいよアクスルシャフトを緩めます。
バルカンSのフロントアクスルシャフトは、14ミリの六角レンチを使用するので、ヘキサゴンレンチや六角レンチを使用します。
このレンチは他に使用用途が無いので、この作業の為だけに購入する必要が有ります。
中型バイク以上のアクスルシャフトは、経験上非常に大きなトルクで締まっている事が多いです。
ビクともしません……。
これは想定済みです。
こんな時はショックハンマーを使えば8割がた緩みます。
ショックハンマーで叩く場所は軍手でカバーします。
10回ほど叩いたところ、ビクともしませんでした。
……手強い……。
仕方ないインパクトレンチを購入するか……
となるところですが、いえいえ、まだ最後の手段が残っています。
鉄パイプ(正確にはステンレスパイプ)
パイプをレンチに連結する事で、テコの原理を使って
(支点から力点が遠くなるほど、大きな荷重が生まれます)
これで六角レンチの5倍の力で緩める事が出来ます。
(※ パイプはアルミ製は避けた方がいいです、強度が低いので曲がってしまいます)
早速トライしてみます。
レンチに連結してゆっくりと回します。
この時は慎重にレンチを回す必要が有ります。
バイクに大きな力を掛けるので、一気に力を掛けるとバイクが自分の方に倒れてきます。
なので、ゆっくりと小刻みに体重をかけて力を入れます。
緩みました。
ちなみにアクスルシャフトを緩めるには、インパクトレンチが便利です。
しかしインパクトレンチは安価なものでは、四輪車のホイールナット程度は緩めますが(120Nm程度)
大型バイクのアクスルシャフトを緩めるには
300Nm以上のパワーが無いと、まず無理です。
そうなるとミドルクラス以上の、インパクトレンチを購入しないといけないので、2、3万円程度は必要になってきます。
また安価なインパクトレンチは、仕様には400Nmと記載されていても、ほとんどの場合、実力は半分程度の事が多いので、注意が必要です。
マキタ製の400Nm以上のインパクトレンチなら、緩める事が出来ます。
次にフォークのトップキャップを緩めます。
この時に必ずフォークの突き出し量を、測定して記録します。
フォークの先端がフォークブリッジから何ミリ出ているかを、測定します。
これを記録しておかないと、組む時に何処の位置で固定するのか、わからなくなるからです。
それではトップキャップを緩めます。
ここでは緩めるだけです。
このトップキャップを緩めておかないと、フォークを外してからでは、フォークを固定するのが難しくなります。
トップキャップを緩める前に、フォークを固定している六角ボルトを緩めておきます。
バルカンSのフロントフォークのトップキャップは、22ミリです。
ここは極力ボックスレンチを使用して、決して斜めに噛まないようにして、慎重に力をかけてください。
少しでも斜めに掛けると、キャップの頭を削ってしまい、最悪はレンチが噛まなくなる事もあります。
またトップキャップはアクスルシャフト同様に、大きなトルクで締められているので、一気に力を入れるとバイクが転倒する可能性があります。
なので小刻みに力を入れて、ゆっくりとレンチを回します。
このトップキャップは、アクスルシャフト同様に固いので、どうしても回らないときはハンマーでレンチを叩いて緩めます。
バルカンSの場合はトップキャップの上に、ハンドルが干渉してしまいメガネレンチで慎重に緩めます。
次にキャリパーの固定ボルト2本、とABSの計測装置を外します。
さて、いよいよ車体をジャッキアップして、フロントホイールを持ち上げます。
ジャッキを掛ける場所は、車種によって違いますがポイントは、必ず強度の有る材質にかける事です。
絶対に樹脂パーツや、強度の低い部品にジャッキをかけてはいけません。
今回は一番強度の高そうな、エンジンブロックにかけます。
ジャッキを掛けるときは、ゴム製などの物で傷防止をします。
また今回の様に、パンタグラフジャッキを使用して、バイクをジャッキアップする場合は、安全を考慮して馬をかけて万が一ジャッキが倒れても、バイクが落下しないようにしましょう。
これをしないと、バイクが自分に落ちてきたら大怪我するだけでなく、バイクも損傷してしまうからです。
バイクリフトがあれば安心して作業ができます。
フロント側がジャッキアップしたら、あとはフロントホイールを外します。
先ほど緩めてあったアクスルシャフトを引き抜きます。
フロントホイールが外れました。
次にフロントフェンダーを外します。
子の六角ボルトを外します。
この2か所のボルトを両側外します。
裏からレンチで外します。
フェンダーが外れました。
ウィンカーとフォークを固定しているボルトを外します。
フォークを固定しているステーの六角ボルトを外します。
緩めてある、トップのフォーク固定ボルトを外します。
これでフロントフォークがフリーになりました。
下から引き抜きます。
抜けました。
もう一本抜きます。
これでフロントフォークの取り外しが完了しました。
次はフロントフォークのオイル交換に入ります。
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