最近カワサキがニンジャの最新モデルを
250ccで4気筒モデルを出す事が決定して
久しぶりにバイク業界が活気づいています。
▼ 250cc4気筒ニンジャの記事はこちら
しかし自動車というものはバランスが大事で
最高出力だけを主軸に作られたバイクは
燃費が悪く、パワーバンドが高く使いづらい側面があります。
しかしユーザーはどうしても
最高出力とか、最高速度ばかりに目が行きがちで
メーカーもそこに合わせて開発している点があります。
しかし最近そんな流れも変わってきています。
それはメーカーが欧州のマーケットを意識して開発するようになり
小排気量で多気筒のエンジンではEUの環境基準に対応するのが厳しく
また燃費の数値が悪いからです。
最近の中型バイクが2気筒化している流れは
燃焼効率が良く、扱い易く
何よりもエンジン回転数の低中域トルクが太く
街乗りやツーリング、タンデム等の
実際の走行シーンで効率良く出力が出せます。
つまり小排気量の多気筒エンジンは
ハッキリ言ってしまって、良くないです。
確かに250ccの枠内で考えれば
4気筒化すれば40馬力を超えるパワーを手にする事が出来ます。
そのパワーはユーザーには魅力的に映ります。
しかし問題はそのパワーの出方です。
マルチ(多気筒)のエンジンは
設計上、高回転域を使用してパワーを出します。
そうでなければ、大きくて重く、部品点数が多い
4気筒にする意味が無いからです。
しかし実際の走行シーンで考えた時に
タンデム時、上り坂、中間速度域からの加速
これらに必要なのは低回転域のトルクです。
しかし小排気量の4気筒エンジンは、パワーバンドが上に有るので
この実際の走行シーンで重要な、低回転域のトルクが細過ぎるのです。
そう言うと
「アクセルを開けて回転数を上げれば良い」
と思う方も居るかと思いますが
それこそが小排気量マルチの問題で
結局常にパワーバンドの有る高回転域を多用する事になり
燃費が悪く、扱いづらいバイクとなります。
これを解り易く解説すると
125ccで4気筒にすれば
20馬力を超えるエンジンを作る事が出来るでしょう。
しかしそのエンジンは低速が全く使いものにならない
高回転エンジンになります。
もちろんサーキットを走れば早いですが
街乗りでは発進する度に、原付の様に常に上まで回さなくてはならず
出来の悪い仕上がりになってしまいます。
またこういうエンジンは中回転域のトルクが弱いので
60キロ付近から加速しようとすると
4、5速ではパワーバンドまで到達するのが鈍いです。
なのでギアを下げてパワーバンドの有る高い回転域に合わせないと
うまく加速していきません。
反対に単気筒や2気筒の方がパワーバンドが下に有るので
中回転域からトルクが出て加速していきます。
ではどうすれば効率の良いエンジンを作れるのかと言うと
非常に簡単な事で、排気量に合わせて
最適なシリンダーの数を設定する事です。
125ccで4気筒にするのでは無く
単純に250ccにすれば良いのです。
ただそうすると免許や保険の区分が変わってきてしまいます。
つまり逆に言えば、小排気量マルチは
排気量の制限の中で生まれたもう1つの選択肢とも言えます。
そして小排気量マルチエンジンは燃費が悪いと言いましたが
これが重要な事で、燃費とは燃焼効率を表す数値でもあり
同じ排気量で燃費が悪いエンジンは
効率が悪いエンジンとも言えます。
カワサキが250ccの4気筒を市場に出すという
ライダーにとって明るいニュースですが
無駄に排出ガスを出す、小排気量マルチは
実際には非効率で環境に良くない、という側面を忘れていはいけません。
個人的には250ccなら
単気筒か2気筒で十分というのが私の意見です。
本来250ccクラスのバイクは
車体の軽さ、経済性、に重きを置いたクラスです。
何故なら250ccクラスを選択する人の最大の理由は
車検を回避する為です。
また250ccクラスで、突き抜ける様な圧倒的なパワーを求める人は居ません。
そういう人はリッタークラスに乗るからです。
そう言った部分からも単気筒の持っている
軽量さ、低回転から発生するトルク、開発コストの安さは
250ccクラスにマッチしています。
100万円程の低回転域が使えない4気筒のZX-25Rと
88万円で購入できる全域がトルクフルのニンジャ650
どちらが効率の良いエンジンを持っているかは、言うまでも有りません。
実際に
250cc4気筒のホーネット250と
650cc2気筒のニンジャ650の
60キロ走行時の燃費を見てみましょう
▼ 時速60キロ走行時リッターあたり燃費
ホーネット250 32キロ
ニンジャ650 32.1キロ
どうでしょうか、ニンジャ650の方が燃費が良いのです。
また時速100キロになればさらに数値に開きが出ます。
時速100キロ走行時では
ホーネット250はエンジン回転数が
7750回転も回ってしまうので
燃費も30キロ下回ってしまいます。
ニンジャ650の方は時速100キロでも
エンジン回転数は4650回転に留まり
そこまで燃費は低下しないからです。
これだけ高回転域というのは効率が悪く
無駄に燃料を消費するという事が出来ます。
これは排気量が大きいから良いという話では無く
排気量とシリンダーの数には、適正なものが良いという事です。
4気筒のエンジンは最低でも
750cc位からがバランスが良く低回転域からトルクが出て
中間速度域からでも加速が良いです。
ホンダの名車CB400SF
不朽の大定番の4気筒バイクは
中型免許区分で購入できる高性能バイクです。
馬力は50馬力を越えて大型クラス並みです。
エンジンも1万回転まで一気に回る
F1レベルのチューンナップエンジンを搭載しています。
しかし批判を恐れずに言えば
CB400SFは低回転域がスッカスカで
上まで回さないと加速していかず個人的には評価できません。
ただCB750では
下から上までトルクが出てとても良いバイクだと思います。
まあバイクは主観性が強い趣味なので
一般的にはホーネットやCB400SF等の
高回転型のエンジンを好まれる方が多いとは思います。
確かにレーシーな雰囲気を味合わせてくれるので
その点の味付けは大きな魅力と言えます。
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キレイにまとまった記事ありがとうございました
四気筒に憧れる世代であり、小排気量多気筒のデメリットを知っているだけに今回の ZX-25R は「お!カワサキ!やってくれたね!!」と思わさせられました。
>バイクは主観性が強い趣味なので
そうですね、おかげさまで バイク=カワサキ の図式の主観性でここまでやってきました笑
カワサキも現在はしっかりとマーケットを捉えて、製品開発していると思います。
効率だけがバイクの面白さでは、ないですからね。
250ccクラス最速という地位を作る事で、ユーザーの掘り起こしを狙って成功したと言えると思います。