フロントフォークのオイル交換が終わったので、車体にフォークを組み付けます。
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と……その前に
やらなければならない事があります。
それはフォークブリッジのフォーク取り付け部の、内側の錆を除去します。
ここはどうしても錆が回ってくる事が多いです。
フォークブリッジ側が錆びていると、フォークも錆びやすくなります。
この原理は、錆びた個所は元の金属面が減っているので、その窪んだ箇所に水分が定着しやすくなって錆が拡大します。
ブリッジ側に錆と水分が定着していると、当然ブリッジと接触しているフォークのメッキ面にも、長時間錆びと水分が接触するので、メッキの腐食限度を超えると錆となります。
ただ、最悪フォークが錆びてしまっても、フォークブリッジ付近は決してオイルシールまで入る事は無いので、耐久性が低下するわけではありません。
反対にフロントフォークの、オイルシール付近に錆が発生してしまうと、フォークがストロークする度にオイルシールを痛めてしまうので、フォークの交換が必要になります。
いずれにしても、耐腐食性が高いメッキでも油分が切れて、長時間水分にさらされると錆びてしまうので、普段から手入れしてピッカピカの状態に保ちましょう。
という訳でフォークブリッジの錆びを除去していきます。
錆が軽度な場合は錆びとり剤の塗布と、細目コンパウンドで軽い研磨のみで問題ありません。
錆が深い場合はヤスリで研磨します。
まずは錆びとりクリークを塗って、錆の深さを見てみます。
10分程度待って、錆びとりクリームを除去してみます。
錆びは表面のみで、深くは有りませんでした。
手で触ってツルツルしていれば、問題ないのでフォークを組み込みます。
フォークブリッジの定位置にフォークを入れたら、ブリッジのビスを締めて仮止めします。
そしてもう一本のフォークを入れていきます。
フォークが入りました。
そして次にアクスルシャフトを入れます。
ここでアクスルシャフトを入れる事で、フォーク左右の位置を合わせる為です。
アクスルシャフトが入ったら、フォークをフォークブリッジに完全に固定します。
この時トップブリッジのフォークの突き出し量を、定位置に合わせます。
これでフォークは完全に固定されました。
もうアクスルシャフトは抜きます。
フェンダーを組みます。
キャリパーが邪魔になるので、固定しておきます。
フォーク、フェンダーを組みました。
そしていよいよホイールを組み込みます。
アクスルシャフトを入れる前に、マルチグリースを塗ります。
アクスルシャフトはホイールベアリングと接触するので、円滑はとても重要です。
この段階である程度アクスルシャフトを締めますが、まだホイールが浮いているので本締めはしません。
そして馬、ジャッキを外します。
馬、ジャッキが外れました。
そしてアクスルシャフトを本締めします。
この時はハンドルを左にめいっぱい切って、車体に大きな力が加わってもサイドスタンドの有る方向に力が行くようにします。
ハンドルが右側に切ってあると、アクスルシャフトを締めこんだ時に最悪バイクが倒れてきます。
そしてフォークの固定ボルトを締めこみます。
キャリパーも本締めします。
最後はトップキャップを本締めします。
この時も車体に大きな力が加わるので、バイクが倒れないように気を付けながら行います。
またトップキャップのナット部分を、レンチで削らないようにナットに対して、平行にレンチを噛ませた状態で、力を入れて締めこみます。
コツは一気に回さずに、小刻みにゆっくりと力をだんだんと入れていきます。
フォークブリッジの固定ボルトを再度、本締めします。
これでフロントフォークのオイル交換が完了しました。
ちなみにオイルシールはデリケートな部品なので、オイル漏れがあったり、15年以上経過していない車両では、あえてばらさない方がいいと思います。
オイルシール類をばらすのであれば、再利用せず新しいオイルシールに交換した方が賢明です。
私の経験上、フォークの整備は結構難易度が高い部類になりますが、専用のバイクジャッキを使用して、慎重に作業すれば意外とできてしまいます。
ただ中型以上のバイクでは車体の重量も大きく、アクスルシャフトも
200Nm~300Nm以上で絞められているので、整備経験が無いと苦戦します。
自信がない人はバイク専用のジャッキと、300Nm以上のパワーがあるインパクトレンチを用意して、時間に余裕をもって作業しましょう。
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バイクリフトがあれば安心して作業ができます。