さて今回はABS搭載車の大型バイクのブレーキフルード交換を
解説していきます。
ちなみにブレーキフルードの交換は、原付でも大型バイクでも
作業難度はそんなに変わりません。
ブレーキフルード(ブレーキオイル)は
通常2年に1度は交換と言うのが一般的な原則です。
▼ 詳しいブレーキフルードの記事はこちら
ブレーキフルードは吸湿性の為に、走行距離に関係無くフルードが劣化するので
走行距離では無く期間で交換をします。
一般的なバイクは四輪車で使われている
倍力装置(ブレーキブースター)を使用していないので、ブレーキフルードが劣化してくると
明らかにブレーキタッチがあまくなり、制動距離も伸びてしまうので、定期的にブレーキフルードを交換をしましょう。
ブレーキフルードの劣化の目安の1つに色の変化があります。
▲ 新しいブレーキフルード
劣化してくると、茶色に変色します。
▲ 新車時から3年経過したリヤ側ブレーキフルード。
▼ フロント側
バイクのマスターシリンダー機構は、四輪車と違ってカバーされていないので
マスターシリンダーピストン周りの、プッシュロッドの受け側のブーツが劣化するとホコリや雨水が入りやすくなります。
その結果
マスターシリンダーのピストンカップの劣化
キャリパーのピストン部分の摩耗
またブレーキフルード内の水分による酸化による、マスターシリンダーピストンのサビ
等が発生しやすいので注意しましょう。
ブレーキ系統は密封されていて、錆びないと思っている方が居ますが、ブレーキフルード内の水分で錆びます。
なので二輪車の場合は、ブレーキフルードが劣化してくるとすぐにブレーキタッチが変わってきて、制動力の低下も早いです。
という訳でABS搭載車のブレーキフルード交換に関して解説します。
まずABS搭載車の場合は、車種によって搭載されているABSユニットが違いますので
自分のバイクのABSユニット機構を確認して
ブレーキフルードの交換をして下さい。
ABSユニットは大別して2タイプ有ります。
1つ目は国産で一般的に採用されている
汎用タイプのABSユニットです。
このタイプはメンテナンス性が良く、特に複雑な作業は有りません。
もう1つは、BMWに代表されるABSユニットです。
このタイプは通常のキャリパー側からのフルード排出だけでは、ABSユニット内のフルードが交換できず、ABSユニット側からもフルードを排出して、フルードを入れ替える必要が有ります。
また前の型のCBRのABSユニットも同様に、ユニット側からもフルード交換する必要が有りました。
そこで今回はカワサキのバルカンSのABS仕様の
ブレーキフルードの交換方法を解説します。
バルカンS等のABSユニットは
いわゆる汎用タイプのABSユニットです。
▼ABSユニット(※正確にはハイドロリックユニット)
BMW等の特殊なABSユニットを採用しているタイプは
ABSユニットから直接ブレーキフルードを交換する必要が有ります。
今回紹介するのは国産バイクで多く採用されている
汎用タイプのABSユニットを採用しているバイクの
ブレーキフルード交換法です。
まずはABSユニット(ハイドロリックユニット)の
ブレーキフルードの経路図を理解しなくてはいけません。
▼
この様にABS搭載車は
マスターシリンダーから1度ABSユニットを介してキャリパー迄行っている事が分ります。
▼ 詳細図
※ この経路図は簡略化してありますので、実際の経路はもう少し複雑です。
次にABSユニットが作動した時の仕組みを解説します。
図の様に、ABSユニットは
ブレーキ系統の途中に遮断機構を持っており
センサーでホイールロックを感知すると
すぐにABSが介入して、ブレーキを開放してホイールを再び回転させます。
そしてこのタイプの汎用ABSユニットは、通常時ブレーキフルード経路がオープンになっているので
通常時のブレーキフルード交換の手順と同じ方法で、作業すればABSユニット内部のフルードも交換する事が出来ます。
では実際にブレーキフルードを交換していきます。
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